「こんにちわ、お妙さん」
「いらっしゃい山崎君」
「いつもスイマセン、うちの局長が…」
「本当にね。今度は生きて返さないから」
「そ、それは勘弁してください…一応局長なんで、ね?」
そういいながら山崎は困ったように笑う。
一体このシチュエーションで彼が笑うのは何度目だろう?そんなことを思った
動かない近藤を担いで帰ろうとしていた山崎の後ろから声をかける
「近藤さんはどうして新撰組の局長なのにこんなに暇なのかしら」
そういうと彼はこちらを振り返らずに言った
「別に暇じゃないし仕事もきちんとやってますよ。
ただ、僕らをかまってくれた時間をあなたに割いているだけです」
いきなりの声の口調が変わったので驚いて黙っていると、山崎が台詞を続けた
「だから局長を蝿を払うようにあしらうあなたが嫌いです。
でも、これだけ求婚されてもなびかないあなたは好きです。
局長を獲られたら僕らはあなたを殺してしまうかもしれないから」
本気なのか冗談なのかは顔を見れないから分からないが、多分本気だろう
「狂ってるわね」
そういうと山崎は振り向いてニコッと笑い
「えぇ・・・それでは失礼します」
といって出て行った
山崎の後姿を見送る妙は心の中で思う
どうしてこんなにも彼らに慕われる近藤さんを好きになれないのかしらと