近藤という男はいつも笑っている気がする。
笑っていることが多すぎてそれ以外の表情を忘れてしまいそうだ。
現に今も、笑っている。
「奇遇ですね」
なんて嘘臭い事を言いながら近付いてきてからずっと笑っている。
おかしな人。。
「…何がそんなに楽しいんですか」
怒ったようにゆうと。
「そりゃあ、お妙さんが目の前に居てくれて、幸せだからですよ!」
「私はストーカーが周りをうろつくから、とても笑える気分じゃないわ」
これなら少しは堪えるかしら?そう思って後ろを見たがどうやら無意味だったようだ。
近藤は、やっぱり笑っていた。
「どうして好きにならない相手を、諦めようとは思わないの?」
「思いませんよ!お妙さんは運命の人だから!!」
「…いい迷惑よ」
ボソリと呟くように言えば、それが聞こえなかったはずは無いのに、それでも近藤は笑顔を崩さない。
「…どうして?」
「はい?」
「好きな相手に迷惑がられて、どうして貴方は笑っていられるの」
少し困らせてやろうとそんな台詞を吐く。
それが今日一番の失敗になろうとは思わなかった
「知ってますかお妙さん?人って一生に一回運命の人に会えるかすら分からないんです。それなのに、会えたから。俺は幸せなんです」
黙っていると近藤が台詞を続ける
「だからあなたがどんなに俺を嫌いだっていったって笑っていられるんです。運命の人を
俺の手で護れるから」
そういって今までで一番大きな笑顔を見せた話した
「そうですか。。。じゃ私寄るところがあるので失礼します」
その台詞がなかったようにいそいそと去っていく私を近藤は満面の笑みで見送った
この人は何で困らせようとした問いにこんなにも愛をこめた台詞を入れられるのだろう
これじゃ私が困ったじゃない
そんなことを思いながら赤くなった顔を抑える
足取りを早くしながら妙は
次あったときはもう困らせようなんて思わないでグーで殴ろうと心に決めた。