頭が割れるように痛かった

視界がぼやける
完全に風邪のようだ

日の光がないのに気づき、今が夜だと実感する

あたりを見回すと一つの人影を発見した
こんな時間にここにいる人間など一人しかいない

東条だ。

「おい」
そう呼ぶと

「あっ・・・若!大丈夫ですか?」
そういって心配そうにたずね、そばによってきた

「風邪くらいで大げさな・・」

「いえいえ、風邪を甘く見てはいけません。いいですか・・」

「わかった。わかった。お前は僕の風邪を悪化させたいのか?」
このまま話をさせると風邪に対するうん蓄を30分以上聞かされるとふんだ九兵衛は本気で悪化しそうなので東条を静止した

なんと心配性な男だろう。。
片目を失ったときなど、四六時中自分の傍について手を握っていたし
武者修行に行ったときなどかれこれ理由をつけて一月に一回必ず会いに来た

「お前は、どうしてこんなに私を心配するのだ?」
ずっと思っていたが怖くて聞けなかった疑問をぶつけた


誰に聞いてもそれらしく理由をつけるが
答えなど聞かなくても分かりきっている。

答えは、柳生の跡取りだからだ。

じゃなきゃ、こんなにも自分を心配してくれるはずがない

だが予想に反して東条はこう言った
「あなたが護りたい人を護るために自分すら犠牲にできる人だったから。
だから私はあなたについていこうと思いました」

「じゃあ僕がよわいままだったら?」

「もちろん柳生の看板をいただきます」
そういった男の目は冗談ではなく本気だった

「全くお前は恐ろしい男だな」

そういうと東条はにっこり微笑んで。
「えぇ、今の私は若のためなら自分すら犠牲にしますから」

九兵衛は文に脈絡がないと突っ込もうと思ったが頭が痛いので
それ以上東条と話すのをやめ、ゆっくり寝ることにした