今なぜか俺は柳生の娘とキスできるくらい近くにいる
まぁ、実際には口論していてとてもキスできるような状況じゃないことだけは確かだが。。
なんでこうなったかって言うと





いつものようにジャンプを買いに行こうと大通りを歩いていると
一人の黒髪の少女が団子屋でうつむいて手元に集中しているのを発見した

九兵衛だ。
一瞬で分かったのはおそらく少女が頭から離れなかったせい
重症だ。。
そんなことを思いながら銀時は少女に近づいた

しかし今日はいつものようなピリピリした殺気もなく全く周りに気を配っていない。
当然銀時にも気づいてないようだ

声をかけようと思ったが、気づいたとき少女がどんな表情をするのか気になったのでしばらく隣に座ってみることにした
それでも少女はうつむいたまま手元に集中していた。
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分経っても気づかない。痺れを切らした銀時は口を開いた

「お〜い。銀さん無視されると子供だから結構拗ねちゃうよ?」

その声でようやく顔を上げてた
「おぉ、銀さん」といった
少し微笑んだようにも見えたが。それでも妙に見せる笑顔とは雲泥の差だと思うと少しいらっとした

銀時は九兵衛が手にしているものを見た。赤い糸が綺麗な模様を作っている。
「何やってんの?」
「あやとりだ。お妙ちゃんが教えてくれた」
そういって満面の笑みで今作ったものを見せてくれた

へぇ なんて気のない返事をしたが、実際は九兵衛の手の上の糸なんてみていない。
見ていたのはその先にある楽しそうな九兵衛の笑みだけ。。

見ほれてかしばらく固まっていると九兵衛がもじもじとなにか言おうとしていた
なんとなく少女の気持ちが銀時に流れ込んできた。
「なに?銀さんとあやとりやりたいの?」
と聞くと九兵衛は子犬が飼い主を見つけたように、ぱっと瞳を輝かせた。

「お前。あやとりできるのか?」
九兵衛は覚えたてのあやとりをしたくて仕方がないらしい。

「なに言ってんの?銀さんこう見えても江戸のあやとり名人って呼ばれてたんだよ」
「ほんとうか?」そういってさらに嬉そうに笑う。
もちろんそんなの嘘に決まっている。ただこいつの笑った顔が見たかっただけで
ホントはあやとりの“あ”の字も知らない

「さぁ、とってくれ!」
九兵衛が差し出した、両手をつかむように糸を取ろうとした。
で、その結果二人は危機的状況に陥った。

ふたりの指が、糸と絡まってしまったのだ。
糸に繋がれたまま口論をする光景はかなり異様で、視線が痛いほどに集まってくる。

「痛たぁ!銀さんの指取れちゃうから!」
「仕方ないだろうこっちだって痛いんだ・・・!」
「やばいって、銀さんの手ありえないほうに曲がってるからぁ!!もう切るしかないって」
「だ、駄目だっ!お妙ちゃんにもらったんだぞっ!」
そういって泣きそうな声で頬を染めている少女と口論しているが
銀時の頭の中はこの距離なら絶対キスできるのになぁとしか考えられない。

すると先ほどまで泣きそうな顔をしていた九兵衛が
「あっ、お妙ちゃん!!」と遠くに妙を発見したらしく顔を輝かせた
銀時もその声で振り向く。

妙も銀時と九兵衛に気づいたらしく急いでかけてきた
銀時は残った糖分でこの状況を整理した

そして出た結論が
妙には“俺が無理やり九兵衛に迫っていて九兵衛が嫌がってるようにしか見えない”だった

絶対この後殴られるならキスして殴られたほうがお得だよね?
そう言い聞かせ九兵衛と自分をつないだ糸をたぐり寄せるようにひき少女の唇を奪った。


突然のことに少女はきょとんとしており、後ろからは妙の叫ぶ声が聞こえる
あぁ、後はどうにでもなりやがれ。そう心の中で叫び銀時は空を仰いだ


脳内で9ちゃんフィーバーが起きたときの作品。銀→9みたいな感じで描いてたんですが、改めて自分の文才のなさを再確認しへこんだ。。