玄関先で声が聞こえた
「おーい、みんなの銀さんがわざわざ来てくれたよ〜いないのか〜」
玄関がバシバシと音を立てた。
たぶん加減ができないくらい弱ってるんだろう・・そう思いながら妙は心を落ち着けて立ち上がった
玄関を開けると、一人の男が一本の傘を持って立っていた。
「あら・・ずいぶん早いですね」
いつものように満面の笑みで出迎えた
「おうよ、お前にまかせると赤丸ジャンプ買ってくるだろうから少年ジャンプ買って来ようと思ったけど、売り切れだっ・・・」
そこまで言ってその人は崩れ落ちた
「ちょっと、ぎ・・・銀さん!?」
お妙は、銀時に駆け寄ってその胸元の傷を見て驚きの声を上げた。
「ちょっとひどい怪我じゃないですか。」
「ああ?・・・大丈夫だって。これさっきジャンプ買いに行く途中でやったやつだから」
銀さんはへらへらと笑って見せたが、明らかに意識を保つのがやっとそうだった
大丈夫なわけない・・こんな傷生きてるほうが不思議なくらいだ
「銀さん!なんで来たんですか!!」
「なんでって、おまえ・・・傘返しに来たんだよ」
銀時はそう言ってお妙に傘を渡した。それを受け取りながらお妙が言った。
「こんなんで来て!途中で倒れたらどうするつもりですか」
「お前これお気に入りだっていってたろ。」
「・・銀さん・・・」
「・・・・・?・・!!・・銀さん!!ちょっと・・」
死なないで・・・そう心の中で叫んだ。
「私誰に・・・」
そこまで言いかけた時に吐息が聞こえた。
寝ていた。
殴ってやろうかと思い拳を握り締めると、後ろから声がした。
「姉御・・それ以上殴るとマジで死にますぜぃ」
振り返るとそこに沖田が立っていた。
「あら、どうしてこんなとこに沖田さんが?」
できるだけ冷静に笑顔を取り繕って対応する
「だんな虫の息だったから車で病院に連れてこうと思ったら旦那に言われたんでさぁ・・妙のところにつれてってくれって」
その言葉を聴いたとき、自分の顔に張り付いた笑顔が消えた気がした
「・・・」
「俺が返しときますって言ったら、あの人言うんでさぁ・・傘だけ返したらあいつ心配するだろ・・って」
抱えていた銀さんの顔がかすんで見えた
「ほんとに馬鹿な人ですね。あんな傘・・あなたが私のとこに帰ってきてくれればどうなったっていいのに」
目から大粒の涙がこぼれた。
知ってか知らぬか沖田は妙の方を見ずに言った
「だから旦那は来たんじゃねぇですかぃ」
「そうね・・」
「じゃ俺は一足先に失礼しやす。旦那のこと頼みますぜ、姉御」
そういって去っていく沖田を見送りながら妙は、普通の人なら無理やりでも病院に連れてっただろうと思った
「銀さん・・いい友達もってますね」
誰にも聞こえないぐらい小さな声で妙はつぶやいた。
てなわけで紅桜の続きってことをお妙視点で書きました。
なんか自分的には沖田がいい味出してる気がします
実際この続きあるんですが、なんか駄作のような気がするので二、三人リクあったらUPします。