本当に欲しいもの


「ルキアちゃん、誕生日オメデトさん」
いきなり後ろから声が聞こえた。驚いて振り向くと声の主は笑って簪を手渡した

「どうしてこれを?」
それはルキアが前々から欲しいと思っていたものだった

「だってこの前一緒に歩いてたとき、物欲しそうに見てたやん」
そういって声の主はまた笑った

本当に一瞬で自分でも見ていた覚えなどなかったのに
この男はその一瞬を見逃さなかったらしい。関心していたが
はっと我に返り
「ありがとうございます、誕生日を覚えていただけるなんて光栄です」
と急いで口を動かした

「好きな娘の誕生日覚えてるなんて当たり前やないの」
そういって声の主はまた笑った

「人をからかうのがお好きなんですね」
そういうと

「ひどいな〜僕は本気やのに」
といつもの言葉が返ってきた


そんな軽いのりでいわれたら、私はこう答えるしかないじゃないですか!そう心の中で呟き私は、別れの言葉を告げる
「うそ臭いんですよ。じゃあ仕事があるんで」
そういって私が去ろうとすると

「そや!!僕も会議があるんや。ほなまたね、ルキアちゃん」
といって一瞬で消えてしまった


一刻もしないうちにイズルが走ってきた
どうやら隊守会なのに隊長が戻ってこないらしい。
私の誕生日を祝うために、隊守会に遅れるとは。。
なかば呆れつつも私の誕生日を祝うためにわざわざ来てくれた

と思うと悪い気はしなかった。




でも私から“好きだ”とは絶対に言いません
私がもし本気であなたに迫ると、あなたは私の手をすり抜けていきそうだから、
本当に何かくれるというなら、

私は物とかじゃなくて嘘偽りないあなたの言葉が欲しいです。

だから、あなたが“愛してる”と本気で言ってくれるのを気長に待つことにます

ルキアは心の中でそう呟くと、簪を胸にしまい仕事場に急いだ。